店長と呼ばれているのは三沢雪彦(28)。このすっトボケた男・慎之介(24)とともに盆栽ショップ「苔moss」を営んでいる。
「何?じゃあ店長は、今までね、ヤッた人の名前とか全部言えんの?」 「言えるよ全員。女も男も」
その時、タイミングよく玄関のチャイムが鳴った。慎之介が逃げるように玄関に向かうと、そこには大荷物を抱えた慎之介の幼なじみ・はる子(22)が立っていた。
「キム君ち、追い出されちゃった……」
「こんな風に落ちまくってる時はいつも必ずギュッてしてくれて、すごく安心出来たんだよね……」 「うん?おれが代わりにしてやるよ」 「……遠慮しとく」
無碍に断られて、何だか気まずい慎之介。ごまかすようにはる子をラーメン屋に引っ張っていく。 その夜からはる子と慎之介、三沢の共同生活が始まることになる。
「店長、慎ちゃんのこと好きなんでしょ?」 「鋭いね。……でももう昔の話」
三沢が彼女(彼氏!?)を作らない理由はそこにあるようだ。はる子は三沢がちょっぴりかわいそう。
「ちゃんと彼女作んなよ。中途半端なナンパとか、マジでやめな」
イタいところを突かれた慎之介。何が何だかワケがわからない。 その日の夜、何も言わずにはる子が姿を消した。
「俺なこういうことだと思うの。お前、生まれつき卵の黄身だけ食えない奴って、俺以外に知らないだろ?俺もな生まれつき白身だけ食えない奴、お前しか知らないの。だから運命ってさ、あのお互いにこうやってさ必要とし合ってるって思わねえ?」 「う−ん……このまんまが一番良いと思うんだ」
はる子は彼氏ができたことを慎之介に伝え、慎之介は呆気なくフラレた。 その日、はる子は大荷物とともに去っていった。
3人の想いの果ては、一体どこへ…!?